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【文芸部】Vol.3 リレー小説「私の願い」(2)

こんにちは。
文芸部です。夏休み期間に四人の部員でリレー小説を制作しました。良かったら読んでみてください。

(りんご)
 「「「は⁉︎」」」
 私たちは三人揃って素っ頓狂な声をあげてしまった。今、先生はなんといった。私は、とても信じられなくて聞き返した。
「すみません、もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか」
 先生は、呆れた顔で言った。
「聞いてなかったのか。この中から話し合いで合格者を二人決めろ」
 やっぱりそれは現実だったようだ。私は、困惑した。なぜなら、自分がこの三人の中で一番不合格になる可能性が高いのは明白だった。(話し合いで決めるなんて聞いてないよ、、。筆記試験にかけてたからアピールポイントなんて無いよ、、。)私がそんなこんなでうだうだしていると先生は言った。
「それでは、始め。制限時間は七分だ」
 その言葉に三人は息を呑んだ。なぜなら、この話し合いでこの中の一人は不合格になるからだ。私は、話し合いと言われても何を話したらいいか分からず下を向いて黙り込んだ。
「私、絶対に天志高校じゃなきゃダメなんです。私は、この学校でバレーをやるために中学一年生の頃から勉強してきました。私は、昔はバカでただバレーだけやってる子供でした。しかし、天志高校女子バレー部の試合をテレビで見て私は、感化されました。その日から私は、苦手だった勉強にも挑戦し、三年かけてようやく天志高校に入れるレベルになりました。だから、諦めたく無いんです。わがままだとは分かっていますが私を合格させてください」
 美雪は熱弁した。私は、このスピーチに感動してしまった。それと同時に私には勝てないかもと思ってしまった。その時、ずっと黙って聞いていた愛梨が口を開いた。
「私が一番努力してきたみたいに言わないで。みんなこの学校に入るために死ぬほど努力してきたの。私は、小学一年生の時から医者になりたいと思ってるの。母さんが亡くなった時からずっと。母さんみたいに若くして亡くなってしまう人を一人でも多く救いたいの。だから、私は、この学校で研究したいの」
 愛梨は、涙ながらに訴えた。私は、二人のスピーチに圧倒されて言葉が出てこなかった。私が、一人で黙りこくっていると、
「次は、あなたですよ。何も話さないのなら私たちに合格を譲ってください」
 美雪が私に向けて言ってきた。
「あ、あっえっとあのわ、私も天志高校に入りたいです、、、。(私、二人みたいな志望理由ない、、。私、この学校に相応しくないのかも。)」
 私は、はっきりと言葉が言えなかった。

・・・「私の願い」(3)へ続く